
工芸の現場で道具に向き合い、山に入り、素材を手に取る。
そのひとつひとつの動作の中に、
人と身体と自然の関係性が静かに浮かび上がる。
そんな視点から、日常の道具や手仕事について考える連載
「身体と道具の、あいだに。木の岐編」がはじまります。
このエッセイでは、民具や工芸、身体技法をテーマに、
安藤隆一郎が普段の実践や対話のなかで感じていることを、
やわらかく言葉にして綴っていきます。
「なぜこの道具はこんな形なのか」
「身体はどうやって技法を覚えていくのか」
「自然の素材とどう私たちは関係を結んでいくのか」
一見すると見過ごしがちな動作やかたちに、
昔からの知恵や環境とのつながりが息づいているかもしれません。
小さな気づきを手がかりに、道具と身体の“あいだ”を見つめる時間を、
どうぞご一緒に。
木の岐編
木の岐とは、かつて私たちの暮らしの中にあった最も原初的な民具です。秋田市での調査で2022年に出会って以来、この木の岐を身体0ベース運用法の「身体」の視点や民具BANKプロジェクトが持つ「山のホームセンター」の思想から読み解いていくことを続けています。