PROJECTS & TRAINING

野菜身体測定会

野菜身体測定会

わたしの身長は「8ゴーヤ」。
ぼくの身長は「5.8キュウリ」。
野菜を使って身体測定をしてみると、
メートルの時よりも私の身体は 身近なものへと変化していった。

 日常的に1メートル物差しや30センチ定規、メジャーなどで物を測ることをしていても、1メートルや30センチと言われると一旦考え、物差しや定規の物の大きさのイメージから長さを思い浮かべる事はないでしょうか?私の場合、さらに50メートルや100メートルなどとなると、小学校の校庭に白線で引かれたトラックをすぐに思い浮かべます。地球の北極点から赤道までの子午線の1000万分の1の長さから作られたこの「メートル」は現代の私たちが主として毎日使っている尺度であるにも関わらず、この数値で表される大きさはなかなか私の身体に馴染みません。確かにメートルは物の大きさを正確に伝え、人と共有するには大変役立つ尺度ではあります。ですが、メートル法ができる200年前以前まで使われていた「身体尺」は数値は曖昧であったかもしれませんが、元となっている身体に馴染見やすく、数値をは違う大きさのイメージを伝える正確さを持った尺度ではないかと思います。

 「身体尺」とは人体から作られた尺度で世界中で見られます。今でも使われているものとしてはヤード・ポンド法と尺貫法があり、尺貫法は私たちにとって馴染みのあるものです。しかし、例えば「寸」は親指の先端から第一関節までの長さ、「あた」は親指と人差し指を広げた時の両指先の間の長さで5寸と同じ長さ。そしてこの「あた」2つ分が「尺」。というようにその由来を知った上で使うことがないと「メートル」と同じように身体に馴染まない存在となってしまいます。この「身体尺」を使って物を測ると、その物の大きさを「身体」によって理解することができます。では、「身体」を理解するためにはどのようにどうしたら良いのでしょうか。

身近な野菜を使って身長計を作る。半分に切った野菜をスタンプにして細長い紙に押していき、下から順に数字を書いていくと身長計が完成する。壁に垂らした身長計の横に立ったり、腕や顔などに合わせて測ればそれぞれがどのぐらいの大きさかわかる。キュウリなら「何キュウリ?」。ピーマンなら「何ピーマン?」。 次第にそれはひとつの尺度として身近ものになっていく。

野菜尺を使って自分の身体を測り、同じ大きさを紙に写して身体図を作っていく。じっくりと身体を観察し、書き写すことによって私と私の身体との距離が段々と近くなってくる。 それは大きさを理解するための尺度が新しいものに置き換えられたことによって、「身体」の捉え方が変わってきたからである。「メートル」は確かに正確に大きさを知り、また伝えることができる便利な尺度であるが、それを決める基準となったもののスケールは私たちの日常からかけ離れ過ぎている。身近なものを尺度にすることによって「近くの世界を理解することができる」のである。まずそれにはその中心にある「身体」を理解することが大切である。