IDEAS
裸足
私たちが見ている風景は風景の一部にしか過ぎない。
空間を移動する際、直立二足歩行の人間が唯一身体的に地と接する足。
その足を覆う靴と靴下を脱ぎ捨て、裸足になってみる。
足が持つ触覚が露わになり、そこに新しい風景が広がる。
ありとあらゆる空間から凹凸や段差はバリアフリーと消えてゆき、さらに足は高機能な靴で覆うことで身を守り、また身体機能それに委託しようとしている。移動という日常的行為を足を使わないものへと変えてしまったラットな都市生活は発展と言えるのか?いや、これは移動することの喜びを持つ身体の消失なのではないかと思う。
裸足になって道を歩いてみるとそれはすぐに分かる。今までフラットで全て同じだと感じていた、都市の地形にも裸足の触覚で捉えると自然の中にあるような凹凸や質感、温感などがあることが分かる。触覚で感じることができる目に見えない情報が人体の中を下から上へと駆け上り、視覚と並んで別の風景が立ち上がる。