身体0ベース運用法

〈身体0ベース運用法〉場所編

IDEAS

〈身体0ベース運用法〉場所編

人が作り出した人工的な環境や自然の中に地形を探し出し、そこで「移動」や「座る」といった行為を行う。「不安定」な「場」に身を置くことで〈身体〉がどのように変化するのかを観察する。

自然の中の様々な地形を「歩く」と、均質な素材でできている街中の地面に比べ、ゴツゴツと凹凸のある場所や柔らかい場所、両方が合わさった場所などたくさんの形がある。それは視覚だけで認識できるものではなく、足の裏から接することによってはじめて形や質感の情報が下から上へと伝わって来る。足を置いたその瞬間に「場」の形状に合わせて足の指や平を自在に変化させしっかりと捉える。そして足首から上の関節や筋肉などもその情報を元に〈身体〉に連動して変化させてバランスを取る。

この際に使う〈身体〉は日常で靴を履いて歩く平地とは使い方が全く異なる。平地では足の指や平を複雑に使うことはない。また、足全体ではほぼ前後の部分だけで歩いている。しかし、形状の複雑な場では足を縦横無尽に連動させて使う。そうすると今までとは違った新しい〈身体〉の地図が広がっていく。

都市の中では自然のように不規則に大きく変化する地形は少ないが、靴を脱ぎ裸足で歩くとそこにも自然と同じような変化で溢れていることを発見する。しかし、全身で大きく捉える自然のそれとは異なり、足の先端で捉える情報は細かな形状や質感である。情報は視覚情報のように脳までダイレクトに伝わり、視覚と合わせて二つのモニターを同時に観るような不思議な感覚を覚える。

「もの」を観るとはどういうことなのか。五感のチャンネルを操作することによって見え方は大きく変わることが発見できる。条件を変化させると様々な発見がある。例えば、履物を一つ変えるだけで地面から伝わる情報は大きく変わる。また、背負子などの運搬具を使用すると「不安定」要素としての条件が加わる。

日常生活においては私たちを取り巻く建築空間や家具などは〈身体〉に合わせてデザインされている。そこでは〈身体〉を意識して動かす必要はなく、無意識に預けても受け止めてくれる。しかし、「歩く」と同じように「場」に〈身体〉を任せると自然と合わさる。その時〈身体〉を形作る全身の皮膚は「場」と形を共有することによってその輪郭と内側の構造を捉えることができる。